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SewiGの日記

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2005-02-01 [火] 西尾維新 クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い [長年日記]

[Book] クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い - 西尾維新 著

クビキリサイクル一応ミステリーな話なのですが、私は他人の生き方について考えさせられました。他の作品と類似してるといった文学的な指摘は他所にまかせて、読後に私が感じた他では書いてなさそうなことを書いておきます。

この話全体のテーマは「天才」とはどうあるべきなのかだと思います。この話では天才がたくさん出てきます。それも各方面のそれぞれの専門分野を極めた人の集まりです。天才とは言っても自分の専門外はあまりわからないものです。しかし一般人が天才と聞くと万能で何でもできる遠い存在と思いがちです。主人公のいーちゃんはその思いをその彼女たちにぶつけていきます。そのたびに、

  • 結果が全てではなく、全てが結果であり、努力はそれだけで価値がある
  • 基本的には努力と鍛錬だ

と言った彼女たちが考える天才のあるべき姿を語ってくれます。別に彼女たちは特別な存在ではないのです。自分のやりたいことを極めていたらそうなったのです。それが、自分に足りないものを他人なら持っているから天才なのだと感じるのでしょう。いーちゃんは自分自身を天才とは程遠い才能の無い人間と思っているようですが全世界のエリートが集まるERプログラムに合格していたり、最後にあることをしてくれたりと自分では自覚が無いが、ある方面には才能がある天才だったと言えます。
これは現実の世界でも当てはまるのではないでしょうか? この話はミステリー部分以外の会話の局所に現れる感情の起伏や話の前半と後半に注意して読んでみると新しい発見ができます。

そういえば途中で、独自OSだとか、ハードディスクがテラバイトだとか、USBでデータを転送だとか言ってるのに、機密アプリがフロッピーディスクに暗号化されて格納されていてそれを読み込んで起動するという微笑ましい場面もありました(笑)  ・・・まぁ、戯言ですが。

登場人物が女の子ばかりだったり、話が二転三転したり、一人称で書かれたお堅くない文章なので、読みやすいと思います。お勧めします。


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