SewiGの日記
2006-06-07 [水] [長年日記]
■ [Book] 変身 - 東野圭吾 著
不慮の事故で重体だった青年、成瀬純一に世界初の脳移植手術が行われた。温厚な性格だった純一が、徐々に壊れていくという話。
「変身」を読む上でのポイントは、純一の恋人である葉村恵の存在、脳手術を執刀した堂元博士の観察日記、そして人格が侵食されるのを自覚する純一の苦悩。恵は、画家を目指していて自分に一途だった温厚な性格の頃の純一に戻ることを願い、他人のように変わった純一であっても傍に居ようとした。堂元は世界初の試みを行い純一がどのように変化するかに興味があった。そして、純一は自分に純一の人格が存在するうちに真相を素人ドナーを探そうとした。
内臓移植で、ドナーの性格が表層化するといった話は現実の世界で起こっているけど、もし将来脳移植が現実のものとなったら人体はドナーの脳に乗っ取られてしまうのだろうか。自己を構成するものは何だろうか。脳移植されてもこの体は自分のものだと言えるのだろうか。
いつ我々の身に降りかかるか分からない脳移植の恐怖に怯える前に、元気なうちに自分の証を残していこう。